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    November 22

    連休は読書マラソン

     
    この連休は、びみょうな感じで読書マラソン。いろいろ読んでいるけれど、ドイツ関係だと、
     
     1、グンドルフ 『英雄と詩人』 (邦訳)
     2、芳賀檀 『ニーチェ論』
     3、ベルトラム 『独逸的形姿』 (邦訳)
     
    を読んだ。どれもエキサイティングだった。1は、グンドルフとしては珍しい理論書であり、ゲオルゲ論とヘルダーリン論を含んでいる。2は、なんと本文が「友よ!」で始まるという、とても「熱い」本(といっても芳賀檀はいつもこの調子ではあるけど)。3は、論文集・講演集。ドイツ作家論集といってもいい。1も3も戦前のものだが、いま読んでもすごくおもしろい。いまだからこそ、というべきか。
     
    November 06

    予算委

     
    さいきんはずっとNHKで予算委員会の中継を観ている。僕は前原さんが好きなので、それだけのために観ているのである。前原さんはいつも哀しげな表情をしていて、笑っても笑えていない。なんか青年将校みたいだ。
     
    ちくま学芸文庫から出ている、渡辺京二の 『北一輝』 の解説を、ドイツ文学者の臼井隆一郎氏が書いている。この解説がまた、とてもよかった。2・26事件は「例外状況」にほかならず、主権者が天皇であることをはっきりさせたという文章からはじまっている。
     
    おなじ臼井隆一郎氏が編集した論文集 『カール・シュミットと現代』 におさめられている、大宮勘一郎氏の論文 「ラクー=ラバルト/カール・シュミット あるいは反復されるドイツ」 を読んでも感動した。クライストは、「青年将校」だったんだなあ。
     

    ガダマー動画

     
    ガダマーの動画があたらしくアップされていたので、リンク
     
    リルケの詩を朗読したりしています。ガダマーはこういう話し方をしていたのですね、一歩一歩、たしかめるようです。若いころはどうだったのでしょうか。
     
    インタビュアーは、ザフランスキー。
     
    レヴィ=ストロースは100歳で死んだけど、ガダマーはそれより長生きしました。
     
    October 13

    ヘルタ・ミュラー

     
    更新がだいぶ空いてしまいました。 
     
    さて、ノーベル文学賞を受賞したヘルタ・ミュラーについて伝えるニュース映像です。ドイツ人女性としては初めての受賞だそうです。動画のおわりのほうでは、祝辞をのべるギュンター・グラスも出てきています。
     
    September 28

    粉末ソーダ

     
    発表から50周年をむかえたギュンター・グラスの 『ブリキの太鼓』。その有名なシーンで、主人公オスカーが、恋人のおへそを粉末ソーダ(水分を含むとシュワッとする、駄菓子のあれ)で埋めて、それをレロレロっとなめるというのがある。
     
    それでつい最近、あのハラルト・シュミットがTVでそれを実演してみせて、話題になっている。テレビでやることじゃない、はしたないという批判もあるようだけれど、僕にはとても面白かった。というより、シュミットさんがやることなら何でも許せてしまうようなところがあるんだなあ。
     
    あと、小説ではうなぎのエグいシーンも好き。そういえばギュンター・グラスは今回の総選挙の前にも改めてSPD支持を表明していました。
     
    September 23

    Scheinは、あざむく。

          
     
     >ここで言われている「通用性」については、ドイツ語の「貨幣 Geld」という言葉が「通用する、有効である」
     >という動詞<gelten>の名詞形であることが、この説明に先立って確認されている。また仲正は、紙幣
     >を意味するドイツ語<Geldschein>に関しても、<Schein>は「証明書」を示すとともに「仮象=見せか
     >け」をも意味することから、紙幣とは、確実に価値があるものと見せかけて通用させてしまう性質を有す
     >ることが説明されている。
     > ヘーリッシュと仲正がともに強調しているのは、それがキリストの身体であると信じられているがゆえに、
     >それに触れることの喜びを共に味わうことができる「パン」と、それ自体は無価値だが、しかし何かと交換
     >できると信じられるからこそ価値が生まれる貨幣は、ともに「信用」を背景としている点で似ているというこ
     >とである。共に信じることができる「パン=貨幣」を媒介として共同体が成立するが、その信用が聖なる存
     >在ではなく世俗権力によって保証されたところに、貨幣経済の原型があるというのである
     
                                             加藤 博子 『ノヴァーリスの幻創論』 より
     
    ただ、教会と銀行の類似性をいくら指摘して、紙幣はどうして機能するかを説明したとしても、また、いわゆる「命がけの飛躍」をいってみても、そういう議論は何かを隠蔽している。何をか? 紙幣を介した交換という場そのものを成り立たせている暴力をである、ということをとても分かりやすく書いているのがたとえば、萱野稔人の 『カネと暴力の系譜学』 である。
     
    交換そして市場は、強奪や収奪から保護されてはじめて可能であり、たとえばこの強奪という暴力を取り締まることができるのは、別の暴力(たとえば公安)しかありえない。
     
    つまり、僕たちは、神やお金を信じるよりも前に、力・暴力を信じてしまっている。というより信じる以前に、暴力以上のリアリティは、ない。
     
    だから、命がけの飛躍はべつに交換に特殊の現象なのではまったくなくて、人間、生まれてきたらいつ騙され、奪われ、傷をうけ、殺されるかわからないその「生」それ自体が命がけの飛躍である、と考えることもできる。そしてこのほうがよほど根底的で、嘘が少ないようにおもう。マルクスを信じるか、それとも、ハイデガーを信じるか。
    September 18

    キットラー

     
     
    フリートリッヒ・キットラーの新しいインタビューです。自己紹介、近況を話したあとで、コンピューターゲームについて(これがメイン)語っています。シミュレーションから、シュティムレーションへ。おもしろいですね。
     
    September 15

    ギリシアの神々

     
    こちらはもう冬が始まったかというくらい、昨日も今日も寒いです。暖房もガンガン働きはじめました。ちょっと前まで真夏のギリシアにいたので、余計にさむく感じてしまいそうです。ギリシアといえばシラーはその詩「ギリシアの神々」を
     
      Was unsterblich im Gesang soll leben,
      Muß im Leben untergehn
     
    と結んでいて、フロイトもこれをモーセ論で引用しています。やはりいろいろ考えさせられる一節です。ドイツ、ギリシアときたら、やっぱり次はインドかなあ・・・。
     
    August 21

    詩人と英雄

     
    シュタウフェンベルクと、詩人ゲオルゲ。ほんとうのドイツをとりもどすためにヒトラー暗殺にふみきったシュタウフェンベルクに、詩人ゲオルゲの影響は決定的だった・・・。
     
    ちょっとビンゲンに行ってこようと思います。通過するばかりで下車したことがなかったのですが、ライン河畔の美しいこの町は、ゲオルゲの生まれたところ。ゲオルゲ記念館もあるらしい。すでに10代からシュタンフェンベルクにとってゲオルゲはカリスマであり、ゲオルゲもシュタウフェンベルクに「目をつけて」いました。シュタウフェンベルクがゲオルゲをビンゲンに訪ねた際に足跡をのこした古城へも行けたらいいなと思っています。船で対岸のリューデスハイムにも渡れるらしい。いちばんいい季節です。
    August 10

    Politik als Beruf

     
    ニコ動に<ウェーバー『職業としての政治』を読む>がうpされていたのでリンク
     
     >安倍晋三元総理が好んで引用するマックス・ウェーバーの『職業としての政治』の要約です。
     >政治とは何か、政治家に求められる資質とは何かを原点に戻り、今一度問い直してみようと
     >思います
     
    とのこと。
    August 09

    メルクール作戦

     
     >世界史の転変の中では、「涙流すことなく」生きる、「選ばれし者の天国」を歌ったピンダロス
     >の神々も、竜をも拉ぐワルキューレも、磔にされた大工の息子に屈服するのだ。
     > ギリシャやゲルマンの神々は、彼岸の絶対神に屈服した。ただ日本人だけが、彼岸を知る
     >事なく、今も現世の神々を崇めている。
     
     
                                           福田和也 「斑鳩への急使」 より
     
     
    というわけでギリシャへは行ってこなければならない。村上春樹の『遠い太鼓』を読んでから10年が経とうとしている・・・。現地では生水と日射病に気をつけよう。
    August 05

    吉田ロート

     
    ふと、吉田健一とヨーゼフ・ロートは似ているなあと思った。顔だけじゃなくて、玄人好みの文章を書くところも似ている。ヨーゼフ・ロートはそんなに有名な作家とはいえないかもしれないが、じつはけっこうたくさん翻訳が出ていて、ファンも多いのである。僕も例によってあの飲んだくれの話から入った。学部2年か3年のときであり、原文で読まされたのである。さいごに主人公がのたれ死ぬところで、なんだかジーンときた。池内紀さんがこの小説を大好きと語っていたのがよく記憶にのこっている。福田和也もロートを絶賛している。たしかに『ラデツキー行進曲』はすごい小説だとおもった。世紀末ウィーンをやっている人間としては、とりわけ感慨ぶかいものがある。
    August 04

    ファンは多いよ流刑地にて

     
    <第二次世界大戦まっただなかの1941年、ドイツ北東部・バルト海に浮かぶ離島「坩堝島」に一人の若者が降り立った。テオドール・ガッセ少尉、彼の任地では大戦を勝ち抜くべく新兵器の開発が行われていた。それも「超」が付くほどのトンデモ兵器が……。>
     
    「ヴンダーカンマー」。こんな漫画があるの知らなかった。気になったのは、写真にもあるように、ドイツ語のサブタイトル「In der Strafkolonie」。これはカフカの 『流刑地にて』 からとってきているのだろう。そういえば、カフカの 『流刑地にて』 が漫画化されるらしいとどこかで読んだ覚えがあるけれど、どうなったんだろう。たしか西岡兄妹とかなんとかだった(この人たちの作品を僕はまだ読んだことがない。カフカの影響が濃厚ということだから一度よんでみたい。)
     
    『流刑地にて』 はオペラ化もされているし(フィリップ・グラス)、『海辺のカフカ』 にも出てくるし、独文研究者にもファンは多い。僕が中学校の先生だったら、夏休みの読書感想文をムリヤリこの小説で書かせていったいどんな反応がかえってくるか楽しみたい、とふと思った。小説がマゾヒスティックだから、そのくらいサディスティックになってもいいのである。たぶん。
     
    流刑地サディスティック。
     
    唄:椎名林檎
     
    を切に希望。
    August 03

    夏に、シュトルム

     
     
    この季節になると、立原道造が読みたくなる。(あと、ナスのカレーが食べたい。) 読んでいると、そのままさーーっとこの詩世界に溶けていってしまいたくなる。立原道造は、シュトルムを愛した。翻訳もして、岩波文庫から出ており、解説を高橋英夫が書いている。そうするとシュトルムを読みたくもなるというもの。グーテンベルクで、大好きな 『白馬の騎手』 から、いくつかの箇所を読み返してみる。珠玉というのはこういう作品のことをいうのだとおもう。伝承の力を信じて書かれた小説。けっきょくのところ、こういう正統がもつ感動に勝てるものはない。
    July 31

    カント入門

        
     
        学生ゾフィーが、にわかカント勉強の旅に出るようです。×10 この番組よくできてる!

    いるんげんヴぃるんげん

     
     >私はフォンターネという十九世紀のドイツのリアリスト作家の「迷路」という小説を読み終って、
     >さてとあたりを見まわしたが、お喋りがしたくなって。このフォンターネという作家は、訳者によ
     >ってリアリストと云われているが、リアリスムは、ドイツではこういう身分にさからったことをす
     >れば、結局不幸になる、という良識を、菊池寛のように恋愛その他の生活法にあてはめてゆ
     >く態度に限られていたのでしょうか。ドイツのリアリスムというものに興味を覚えます。ドイツの
     >文学史は知らないけれども。ゲーテ賞を(ノーベル賞なんかナチの文学者は受けるに及ばん。
     >ゲーテ賞をやる、ということで)貰ったカロッサにしろ、医者として或点大変リアリスティックで
     >すが、いざとなると、永井潜先生に近づき科学と宗教的なものとをまぜ合わせてしまっている。
     >フランスが文学に於て示したリアリスムの力づよい歴史的な功績と比べて面白い。
     
                                      
                                         宮本百合子 「獄中への手紙」 より
    July 22

    ゼーバルト生家

     
    Wein, Weib und Gesang さんが、ゼーバルトの生家について書いておられます。リンク。ケンプテンには行ったことがない・・・すごくうらやましいです。
     
    July 21

    鷗外訳、シュニッツラー

     
    鷗外訳、シュニッツラーのデータ。ウェブ上にまとめたものがないので、作成したものをアップしておく。鷗外は全部で7篇のシュニッツラー作品を訳しており、作品数からいって、鷗外がもっとも多く訳した作家がシュニッツラーであった。
     
    以下では、翻訳発表年(西暦)、邦題、ジャンル、発表・連載時期(元号)、ドイツ語原題、それを収録した単行本タイトル、その初版の発表年(角型括弧内)の順であらわす。
     

     

    1907「短剣を持ちたる女」一幕物、明治4011, 12Die Frau mit dem Dolche, in: Lebendige Stunden [1902]

     

    1908a:「アンドレアス・タアマイエルが遺書」(ノヴェレ、明治411Andreas Thameyers letzter Brief, in: Die griechische Tänzerin. Novellen, Wien / Leipzig: Wiener [1905] ただし鷗外はDämmerseelen [1907] 所収のものから訳している。つまり同小説は両方の単行本に収録された。

     

    1908b:「猛者」(一幕物、明治4111月)Der tapfere Cassian, in: Marionetten [1906]

     

    1909年:「耶蘇降誕祭の買入」(一幕物、明治421月)Weihnachtseinkäufe, in: Anatol [1892 / 1893]

     

    1912a:『みれん』(ノヴェレ、明治4513月)Sterben [1895]

     

    1912b:『恋愛三昧』(三幕劇、明治454月~大正元年9月)Liebelei [1896]

     

    1913一人者の死」(ノヴェレ、大正21月)Der Tod des Junggesellen, in: Masken und Wunder [1912]

     

    July 17

    青い花

     
     
    今月はじまったアニメ 『青い花』 を見ているのですが、面白いですね。絵のタッチがかなり好きで鎌倉もきれいだし、放送分をすでに2周してしまいました。万城目さんがいろんな人にときめきすぎという話もありますが(笑)、はじめから一途でなく自分でもよくわからないままにこころゆれるその感じが、素直にビルドゥングス・ロマーンっぽくていいなあと思いました。
     
    ノヴァーリスのほうは、小説のなかに、主人公ハインリヒ自身を物語る一冊の本が出てきたりして、物語のなかの物語という、夢幻で無限な世界が展開されるわけですが(いわゆる「紋中紋」というやつですね)、アニメでは 『嵐が丘』 が中に出てきます。演劇部の演目であるわけですが、さてこれからどうなるのでしょうか。
    July 14

    かわうそ

     
    ベンヤミンは、ベルリンの動物園で、飽くこともなくカワウソばかり眺めていたんだそうです。でもなんでカワウソ?・・・ いづれにしても、雨にぬれてもカワウソの囲いの前から立ち去ることなく目でカワウソを追い続けるベンヤミンの姿を想像すると、なんだかいいなあと思いました。外でもなくカワウソというところが気取っていなくていいのですが、であるだけに余計に謎めいてきます。謎なんてべつにないのかもしれませんが。